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身体表現がもたらすもの

東京2020オリンピック・パラリンピックが幕を下ろしました。


みなさんは、パラリンピック閉会式の、フランスのプロモーションビデオをご覧になりましたか?

 

はじめに、義手の少年とダンサー、二人の手によるパフォーマンス。

そして、そのダンサーと、車椅子に着席したパフォーマーたちによる<腕と手>だけを使ったダンス。

時間にして3分あるかないかです。

 

「これはやられた!」と思いました。

 

オリンピックの閉会式に披露されたフランスのPVでは、BMXの選手がパリの競技会場となるグランパレをはじめ、オペラ座やコンコルド広場などパリの象徴的な場所や大空を背景に、のびやかに鮮やかに駆け巡っていました。

今回は、それとは正反対で、一つの空間の中で完結され凝縮された世界がありました。


オリンピックのPVが「動」の美なら、こちらは「静」の美。

まるでモノトーンのように抑制された色調、全員の手の一糸乱れぬ動き。


動きだけでなく、制止までもがそろっていて美しい。見ていてゾクッとしました。どこか、指揮者とオーケストラにも似ています。

 

このパフォーマンスは「手や指をメインに行うダンス」に近いものだそうです。

特殊な技術を使う訳ではなく、あくまでシンプルに、着席という最小のスタイルで最大限の身体表現を実現する。

どんな文化圏の誰が見ようとも、カッコイイと思わせ「魅せる」ものにするセンス。フランスの文化力が何ともニクイではありませんか。

 

振り付けは、「自らの限界に挑戦するパラアスリートの強靭な肉体」を表現している、とのこと。

 

百聞は一見にしかず。ぜひ、ごらんください。