猛暑だった夏も終わり、横浜にも秋が訪れました🌿
今回は、先月終了した発表会を振り返ってみたいと思います。
毎回テーマを設けて取り組む詩音会の発表会。
今回のテーマは 「音楽の玉手箱」。
リャードフの同名の美しい作品から着想を得たもので、
自由選曲が大きな特徴です。
選曲は毎回大変ですが、そのぶんとても楽しい作業でもあります!
小学生以下の選曲
4月に入ったころ、まず2〜3曲の候補を生徒さんに弾いて聴かせます。
生徒さんはその中から 「弾きたい1曲」を選び、譜読みを開始します。
(中には、強く勧めたい場合はこちらから曲を決めることもあります)
その後、余力を見ながら もう1曲、
曲調が対照的だったり、拍子の異なる曲を選びカップリングします。
どちらも普段のレッスン曲より難しめ ですが、
人前で安心して演奏できるレベルまで仕上げなくてはいけません。
初舞台の生徒さんもいるため、普段の様子からその子が本番の舞台で演奏する姿を思い浮かべながら、
必ず成功するプログラム を心がけ、終わったあとに、
その子やご家族にとって忘れられない思い出となることを願いながら選曲をしています。
中学生以上の選曲
中学生以上になると、「弾かせたい曲」は前回発表会の直後から考え始めます。
その曲を弾くために必要なテクニックや楽典知識をどのように育てていくかを見据え、
指導の方針を立てます。
勉強や部活、委員会など学校の活動や塾なども頑張っている生徒さんが多く、
その時間を大切しながら、ピアノにも取り組んでほしいと願っています。
そこで個々のスケジュールを伺い、いつ頃から取り組むのが妥当かを考えました。
今回の選曲は以下のとおりです。
- J.S.バッハ/インヴェンション 第13番 イ短調
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ベートーヴェン/ソナタ 第1番 ヘ短調 op.2-1 第1楽章
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シューベルト/即興曲 第4番 op.142-4 ヘ短調
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シューマン/《ウィーンの謝肉祭の道化》 op.26 より スケルツィーノ、フィナーレ
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ベートーヴェン/ソナタ 第21番 ハ長調 「ワルトシュタイン」 op.53 第1楽章
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ベートーヴェン/ソナタ 第23番 ヘ短調 「熱情」 op.57 第2、3楽章
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ショパン/ソナタ 第2番 変ロ短調 「葬送」 op.35 第1、2楽章
どれも深い音楽性と様式感、高度な技巧を必要とする名曲ばかり。
平行して、レッスンでは練習曲やバッハ作品にも取り組み、曲だけに偏らないようにしました。
一人ひとりの成長を見据えて計画的に挑戦した成果が、
発表会でしっかりと実を結びました🎶
大人の方の選曲
私の教室の大人の生徒さんは、一筋縄ではいきません。
それほど音楽への情熱にあふれた方ばかりです。
こちらの提案の何倍もの熱量で
「ぜひこれを弾きたい!」と選曲をプレゼンしてくださることもしばしば(笑)
難度が高すぎる場合は、将来の目標として今回は見送り、
似た雰囲気の曲をおすすめすることもありますが、
皆さんご自身のレベルをよく把握されています。
好みの多彩さに私も毎回わくわくします。
「今年はラヴェル生誕150周年だからラヴェルを弾きたい!」
そんな自由な選曲スタイルこそ、今回のテーマ
「音楽の玉手箱」の魅力を体現していると言えるでしょう❤️🔥
ちなみに、2025年はサティとモシュコフスキーは没後100年、
ショスタコーヴィチは没後50年を迎える年です。
ショスタコーヴィチの作品は今回のプログラムにはありませんでしたが、
発表会当日が彼の命日(8月9日)と重なり、
私の中では静かに響くものがありました💛
今回の発表会では、「音楽の玉手箱」をテーマに
小学生から大人まで一人ひとりが自分らしい挑戦を重ねました。
選曲という入口で、それぞれの意欲がはっきりと表れたことを嬉しく思います。
選曲ひとつで、こんなにも笑顔になり、頑張れて、
そして底力もぐっと上がるもの。
毎回、選曲の大切さと難しさを感じます。
次回は、選んだ曲がどのようにレッスンを通して育っていったのかを
「レッスン編」としてご紹介します。
最終回「本番編」では、心に残った瞬間や舞台の模様をお届けする予定です。
どうぞお楽しみに🌿