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発表会を振り返って その2 ~レッスン編~

春から夏へ。
生徒たちの音が、少しずつ形になっていきました。

前回の「選曲編」では、それぞれがどのように曲と出会ったかをご紹介しました。
今回はその続きとして、春から夏にかけてのレッスンの様子を振り返ります。

 

 

この春は、私自身にとっても特別な時期でした。
5月に入院することになり、その間レッスンをお休みさせていただきましたが、
友人のR先生が、小さな生徒さんたちのレッスンを代行してくださいました。

おかげで、譜読みを始めたばかりの子どもたちの歩みが途切れることなく、
前に進み続けることができて、今も心から感謝しています。

 

 


🎵未就学児、小学生のレッスン

譜読みの第一歩は、「ゆびづかい」を決めることから始まりました。
基本は譜面通りですが、手の大きさや指の強さはそれぞれ違うため、
一人ひとりに合った指使いを一緒に探していきます。

 

ワルツなど舞曲を選んだ生徒さんたちとは、何度も一緒に踊りました💃💃
舞曲のリズムや特徴を体で感じることで、拍子の流れやアクセントの位置が自然と身についていきます。

 

小学生になると、
「なぜここでクレシェンド?」「この音がきれいに聴こえる理由は?」
そんな“音の背景”を考える時間も増えました。
和声の感覚を少しずつ感じ取ってもらうことで、
音の聴き方や表現がぐんと変わっていきます。

 

練習を支えるために、「100回練習表」もその子その子に合わせて作りました。
子どもたちは、自分で練習した分を表に書き込んだり、スタンプを押して私に見せてくれます。

努力を“見える化”することで、子どもたちのやる気が自然と上がりますし、
「やればできるんだ!」という自信は音となって表れてきます。
全部埋まったときの達成感は、何よりのごほうびでした✨

 

 


📘曲を「知る」学び

 

未就学児から高校生まで、みんなが取り組んだのが、
自分が弾く曲についての“調べ学習”です。

曲の構成や作曲家のことを、私の作成したプリントに書き込んでいきます✏

 

普段のレッスンでも大切にしていることですが、
作曲家の時代背景を知ることは、とても大切です。

「この作曲家は○○と友達だったんだよ」「実はライバルだったんだよ」
「パトロンって何?」など、新しい知識を求めて、
教室にある作曲家の漫画は、いつも誰かに借りられていました📚

 

ある日、生徒さんが言いました。
「つらい時期を乗り越えたからこそ、この曲にはやっぱりハ長調が合ってると思う」

 

そう、そういうことを感じられること。
自分の心と音がつながる瞬間――
それこそが“学び”の本質だと感じます。

 

時代や人物の背景を知ることで、音への理解が深まり、
表現にも説得力が生まれます。
“知る”ことと“弾く”ことがつながった瞬間、

生徒さんの音に新しい色が加わります🎨

 


🎼中学生・高校生のレッスン

中高生になると、譜読みのスピードも格段に上がり、
それぞれの曲に対する“自分のイメージ”を持って臨む姿が印象的でした。

学業や部活との両立は簡単ではありません。
限られた時間の中で、練習の質を高めようとする姿勢にいつも感心します。

 

技術的な克服はもちろんですが、
「なぜ作曲家はこう書いたのか?」と、
楽譜を深く読み取る時間も増えていきました。

 

それぞれに違うストーリーがありました。


苦労しながら地道に頑張り、
苦戦していたフレーズを本番直前にようやくつかめた子もいます。

 

「はじめの一音」を安定して響かせるためには
弾く前の呼吸、肩の力を抜いて鍵盤に指を落とすスピードを一定にする
“音楽は弾く前からすでに始まっている”ことを学びました。

 

指の動きは完璧なのに、ペダルが音を濁らせてしまう…
そんな課題に気づいて、外のグランドピアノのあるスタジオまで足を運び、
丁寧に研究した生徒さんもいました。

 

また、遠方からレッスンに通ってくれている生徒さんたちもいます。

どれだけ疲れていても、そんな様子ひとつ見せず、真剣に臨んでくれる姿。

親御さまのご協力にも本当に頭が下がります。

 

そして、ここに通うどの中高生も、 

本人の努力だけでなく、家族や周りの人の多くの力に支えられて今の自分があるということを、

少しずつ実感してくれているようでした。

 


🎶大人の生徒さんのレッスン

大人の生徒さんは、お仕事やご家庭など、
ご自分の生活リズムに合わせながら、
それぞれのペースで練習され、着実に仕上げていかれました。

 

お仕事の繁忙期と重なり、
「前回からほとんど変わっていません💦」とおっしゃりながら、それでも休まずにいらしてくださる姿勢には、

いつも尊敬の念を抱きます。

 

お家での練習では、いつも曲の冒頭から弾いていると
どうしても後半が手薄になってしまうため、
「途中から練習する」「特に難しい箇所を取り出して練習する」など、
効果的な方法を提案しました。

 

また、物理的にピアノに触れない状況のときは、
「ハンドグリップで手の筋力を保つ」「スキマ時間で簡単な指トレーニングをする」
「お休み前に音源を聴く」など、
どんな環境の中でも、できるだけ“音楽と離れない工夫”をお伝えしました。

 

レッスンでは、弾けなかった箇所を着実に弾けるようにするための練習方法を端的に伝えて実践し、

毎回何かを掴んで帰ってもらうことを心がけています。

 

「昔習っていたときは理解できなかったことが、今になって分かる気がします」と
話してくださる方もいて、
大人の方ならではの音の深みや表現に、
音楽がその方の人生の中で育ち続けていることを感じ、私も胸が熱くなりました!

 

 

 


🎼終わりに

 

 こうして迎えた発表会。


レッスン室で積み重ねてきた時間のすべてが、
舞台での輝き✨につながっていきます。

 

次回、「その3  ~本番編~」をお届けします。

どうぞお楽しみに🎹